納車
納車と同時にやるべき5つの準備
待望の新車が手元に届く納車日は、興奮と期待で胸がいっぱいになることでしょう。しかし、その喜びのあまり、重要な準備を見落としてしまうと、後々のトラブルや不便につながる可能性もあります。こ
1. 自動車保険の加入手続きと内容確認
納車と同時に最も重要かつ必須の準備が、自動車保険への加入、および加入内容の最終確認です。保険に加入していなければ、万が一の事故の際に経済的な負担が非常に大きくなってしまいます。公道を走行する車には、法律で加入が義務付けられている「自賠責保険(強制保険)」と、任意で加入する「任意保険」の2種類があります。
自賠責保険(強制保険) これは車の購入時に販売店(ディーラーなど)で加入手続きを済ませていることがほとんどで、車検と同時に更新されます。対人事故のみが補償の対象となり、補償額も最低限です。
任意保険 自賠責保険だけではカバーしきれない、対物賠償、人身傷害、搭乗者傷害、車両保険など、より広範囲な補償をカバーするのが任意保険です。事故を起こした際の相手方への損害賠償はもちろん、ご自身のケガや車の修理費まで補償されるため、必ず加入しておくべきです。
納車時の確認事項と手続き
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保険証券の確認: 納車前に保険会社から保険証券が届いているか確認しましょう。そこに記載されている車両情報(型式、登録番号など)が、納車された車と一致しているかを必ず確認してください。
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補償内容の最終確認: 納車される車の情報(型式、年式、グレード、装備など)に基づいて、事前に見積もりを取っていた補償内容と相違がないか、最終確認を行います。特に、車両保険の有無、免責金額、特約の内容(弁護士費用特約、ロードサービス特約など)は重要です。
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納車日の連絡: 契約している保険会社に、正確な納車日を連絡しましょう。保険の補償開始日は、納車日と一致させるのが一般的です。もし納車日が確定している場合は、事前に保険会社に伝えておくことで、納車当日からスムーズに補償が開始されます。
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車両入替手続き(買い替えの場合): すでに車を所有していて、新しい車に買い替える場合は、現在加入している保険の「車両入替手続き」が必要です。新しい車の情報に切り替えることで、それまで引き継いでいた等級や割引を維持できます。納車日までに手続きを済ませておきましょう。
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ロードサービスの確認: 任意保険にはロードサービスが付帯していることがほとんどです。内容を確認し、レッカー移動やバッテリー上がり、キー閉じ込みなどの緊急時の連絡先を控えておきましょう。
なぜ納車と同時が良いのか 公道を走行する以上、いつ事故に巻き込まれるか、あるいは事故を起こしてしまうかわかりません。納車されてすぐに運転する可能性を考えると、保険が有効になっている状態であることが何よりも重要です。万が一、保険未加入の状態で事故を起こしてしまった場合、人生を左右するほどの経済的負担を負うことになりかねません。
2. 車載品のチェックと基本的な操作確認
新車の納車時には、取扱説明書や各種書類の確認に加え、車載品の有無と、車の基本的な操作方法の確認を必ず行いましょう。ディーラーの営業担当者が説明してくれることが多いですが、不明な点は積極的に質問し、納得いくまで確認することが大切です。
確認すべき車載品
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取扱説明書: 車のすべての機能が網羅されています。必ず目を通し、分からないことがあればすぐに参照できるよう、車内の決まった場所に保管しましょう。
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メンテナンスノート(保証書): 定期点検や整備の記録、保証内容などが記載されています。これも大切な書類なので、大切に保管してください。
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スペアキー: メインキーとは別に、スペアキーが渡されているか確認しましょう。最近はスマートキーが主流で、多くの場合2つ渡されます。
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工具類・パンク修理キット: 万が一の故障やパンク時に使用する工具類やパンク修理キット(スペアタイヤがない場合)が積載されているか確認します。
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ETC車載器・ドライブレコーダー: これらをディーラーで取り付けてもらった場合は、正しく設置されているか、電源が入るか、動作するかをその場で確認しましょう。
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フロアマット、ドアバイザーなど: 契約時に購入したアクセサリーが、きちんと取り付けられているか確認します。
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各種書類: 車検証(後日郵送の場合もあります)、自賠責保険証明書、リサイクル券など、車に関する重要な書類が揃っているか確認します。
基本的な操作確認
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ライト類: ヘッドライト(ハイ/ロー)、フォグランプ、ウインカー、ハザードランプ、ブレーキランプ、バックランプなど、全てのライトが正常に点灯するか確認します。
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ワイパー: フロントワイパー、リアワイパー(装備されていれば)、ウォッシャー液の噴射が正常に行われるか確認します。
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エアコン: 冷房、暖房、内外気切り替え、風量調整が正常に動作するか確認します。
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パワーウィンドウ: 全ての窓がスムーズに開閉するか確認します。
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カーナビ・ディスプレイオーディオ: 正常に起動するか、基本的な操作ができるか、Bluetooth接続やApple CarPlay/Android Autoなどの機能が使えるか確認します。
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パーキングブレーキ: 電動パーキングブレーキの場合は、解除・作動方法を習熟しましょう。
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給油口の開け方: 給油口の開け方を事前に確認し、給油時に困らないようにしましょう。
なぜ納車と同時が良いのか 納車時に確認することで、万が一不具合があった場合にその場で対応してもらえるため、後から改めてディーラーに持ち込む手間が省けます。特に電装品は動作確認が重要です。また、基本的な操作を理解しておくことで、慣れない運転での不安を軽減し、安全運転につながります。
3. ETCカードの準備と挿入
高速道路を利用する予定がある場合は、ETCカードの準備と車載器への挿入を忘れずに行いましょう。ETCカードがないと、ETC車載器が搭載されていても割引が適用されず、料金所をスムーズに通過できません。
ETCカードの入手方法 ETCカードは、クレジットカード会社が発行しているものが一般的です。すでにクレジットカードを持っている場合は、そのカード会社にETCカードの発行を申し込むことができます。発行には通常1~2週間程度かかるため、納車が決まったら早めに申し込むようにしましょう。
ETC車載器への挿入 ETCカードを車載器に挿入する際は、カードの向き(ICチップの向き)に注意が必要です。ほとんどの車載器は、カードを挿入すると「ETCカードが挿入されました」などの音声案内が流れます。もし音声が流れなかったり、エラー表示が出たりする場合は、カードの向きや挿入状況を確認しましょう。
納車時の確認事項
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ETC車載器の動作確認: 納車時にディーラーの営業担当者に、ETCカードを挿入して動作確認をしてもらいましょう。音声案内やインジケーターランプが正常に作動するか確認します。
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セットアップの確認: ETC車載器を使用するには「セットアップ」と呼ばれる登録作業が必要です。これは車載器と車の情報を紐付ける作業で、ディーラーやカー用品店で行われます。納車時にセットアップが完了しているか確認しましょう。
なぜ納車と同時が良いのか 納車されてすぐに高速道路を利用する機会は意外と多いものです。ETCカードを挿し忘れたり、車載器が正常に作動しなかったりすると、料金所で慌てることになります。事前に準備し、動作確認をしておくことで、スムーズなドライブが可能です。
4. ドライブレコーダーの装着と設定
万が一の事故やトラブルに備えて、ドライブレコーダーの装着と設定は非常に重要です。最近では標準装備されている車も増えていますが、そうでない場合は納車と同時に取り付けることを強くお勧めします。
ドライブレコーダーの重要性
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事故状況の客観的証拠: 事故の際に、その瞬間の映像や音声が記録されるため、過失割合の決定や示談交渉において客観的な証拠となります。
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トラブル回避: 煽り運転や危険運転の抑止力にもなります。万が一、不当な請求やトラブルに巻き込まれた際も、記録が役立ちます。
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駐車中の監視: 駐車監視機能が付いているタイプであれば、当て逃げやいたずらなどの被害状況を記録できます。
納車時の準備と確認事項
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取り付け位置: 運転の妨げにならず、かつ前方視界が確保できる位置に取り付けられているか確認します。後方カメラも設置した場合は、バックミラーで視界が妨げられないか確認しましょう。
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配線: 配線が綺麗に処理されており、運転の邪魔にならないか確認します。ディーラーやカー用品店で取り付けてもらった場合は、プロによる丁寧な配線がされているはずです。
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動作確認: 電源が入り、正常に録画が開始されるか確認します。必要であれば、走行モードや駐車監視モードの設定もその場で行いましょう。
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SDカードの挿入: 録画データを保存するためのSDカードが挿入されているか、容量は適切か確認します。
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初期設定: 日付と時刻の設定、Gセンサー(衝撃検知)の感度設定、録画解像度、音声録音の有無など、基本的な設定を行います。
なぜ納車と同時が良いのか 納車されたその日から、いつどこで事故やトラブルに遭遇するかわかりません。特に、不慣れな新車での運転は、普段以上に注意が必要です。もしもの時に備えて、納車された瞬間からドライブレコーダーが機能している状態にしておくことが、安心安全なカーライフの第一歩となります。
5. スマートフォンとの連携と充電環境の整備
現代の車とスマートフォンの連携は、もはや不可欠と言えるでしょう。納車と同時に、スマートフォンとの連携設定と充電環境の整備を行うことで、より快適で便利なカーライフを送ることができます。
スマートフォン連携
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Bluetooth接続: ハンズフリー通話やオーディオ再生のために、車のオーディオシステムとスマートフォンのBluetooth接続を設定します。
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Apple CarPlay / Android Auto: 対応している車であれば、USBケーブルやワイヤレスでスマートフォンと車を接続し、スマートフォンのアプリ(ナビ、音楽、メッセージなど)を車載ディスプレイで操作できるように設定します。これにより、使い慣れたナビアプリを利用したり、安全にメッセージを確認したりできます。
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メーカー純正アプリとの連携: 車のメーカーが提供している専用アプリ(例:My Toyotaなど)があれば、車両情報の確認、リモート操作(ドアロック、エアコン始動など)、緊急時のサポートなどが利用できる場合があります。納車時に登録方法や利用方法を確認し、設定を行いましょう。
充電環境の整備
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USBポートの確認: 車内にUSB充電ポートが複数あるか確認し、使用しやすい場所にケーブルを配線できるように準備します。
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充電ケーブルの用意: スマートフォンを充電するためのUSBケーブルを用意し、車内に常備しておきましょう。
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ワイヤレス充電パッドの確認: ワイヤレス充電に対応している車であれば、スマートフォンの対応状況を確認し、必要であれば対応する充電パッドを準備します。
なぜ納車と同時が良いのか スマートフォンとの連携は、運転中の安全性と利便性を大きく向上させます。特にナビゲーション機能は、初めての場所へ行く際に非常に役立ちます。また、充電環境を整えておくことで、移動中にスマートフォンのバッテリー切れを心配することなく、常に連絡手段や情報源を確保できます。納車されてすぐにでも利用できるように設定しておくことで、快適なドライブがすぐに始められます。
車の納車にかかる日数は、新車か中古車かによって大きく異なります。また、車種、オプション、時期、さらには社会情勢など、様々な要因によって変動するため、一概に「〇日」と言い切ることはできません。
新車の納車にかかる日数
新車の納車にかかる日数は、一般的に1ヶ月~3ヶ月程度が目安とされています。ただし、これはあくまで目安であり、人気車種や特定のオプション、時期によっては半年~1年以上かかることも珍しくありません。
新車の納車までの主な流れ
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契約・発注: 希望の車種、グレード、オプションを選び、販売店と契約を締結します。この時点で、メーカーに車の生産が発注されます。
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車両製造: 発注された情報に基づいて、工場で車両が製造されます。この工程が最も時間を要する部分です。
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工場出荷・輸送: 完成した車両は、ディーラーの倉庫や販売店へ輸送されます。
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納車前点検・整備: 販売店に到着した車両は、最終的な点検と整備が行われます。オプション品の取り付けもこの段階で行われます。
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登録・ナンバープレート取得: 車庫証明の取得、車両の登録、ナンバープレートの取得など、公道を走行するための手続きが行われます。
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納車: 全ての準備が整い、いよいよお客様のもとへ車が引き渡されます。
新車の納期を左右する主な要因
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メーカー・車種・グレード:
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人気車種: 需要が高いため、生産が追いつかず納期が長くなる傾向があります。特に新型車やフルモデルチェンジ直後の車種は、予約が殺到し、数ヶ月待ちになることも頻繁に起こります。
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特定のグレード: 人気のグレードに生産が集中し、他のグレードの納期が遅れるケースもあります。
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受注生産: ディーラーに在庫がない場合、注文を受けてから製造が開始されるため、納期が長くなります。
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オプション:
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メーカーオプション: 車両の生産ラインで組み込まれるオプション(例:サンルーフ、特定の安全装備、ボディカラーなど)は、選択すると納期が長くなることがあります。特にツートンカラーなど、塗装に手間がかかるものは納期に影響が出やすいです。
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ディーラーオプション: フロアマットやナビなど、ディーラーで取り付けられるオプションは、工場での製造には影響しませんが、取り付け作業に時間を要するため、納車が遅れる可能性があります。
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半導体不足・部品供給問題:
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近年、世界的な半導体不足や部品供給の停滞が深刻化しており、自動車産業全体に大きな影響を与えています。これが最も大きな納期の遅延要因となっています。一部の車種では、この影響で受注停止や納期未定となるケースも発生しています。
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社会情勢・災害:
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大規模な災害(地震、台風など)やパンデミック(新型コロナウイルスなど)が発生した場合、工場が稼働停止したり、部品の物流が滞ったりすることで、納期が大幅に遅れることがあります。国際情勢の変動も、部品の調達に影響を与えることがあります。
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生産ラインの混雑状況:
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メーカーの工場全体の生産状況によっても納期は変動します。新年度や決算期など、特定の時期に注文が集中すると、生産ラインが混雑し、納期が長くなることがあります。
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販売店の繁忙期:
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販売店も人事異動や年度末・決算期などで忙しくなる時期があります。手続きや整備に通常よりも時間がかかる場合があります。
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輸送距離:
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工場から販売店までの輸送距離が遠い場合や、離島への輸送など特殊な輸送が必要な場合は、その分時間がかかります。
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新車の納期を早めるための対策
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在庫車・展示車・試乗車の検討: ディーラーに在庫がある場合は、比較的早く納車される可能性があります。ただし、オプションが限定される場合があります。
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人気の低いグレードやオプションの選択: あえて人気の低いグレードや、取り付けに時間がかからないオプションを選ぶことで、納期が短縮されることがあります。
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早期の契約: 希望の車種がある場合は、できるだけ早く契約を済ませることが重要です。
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必要書類の事前準備: 車庫証明の申請など、お客様側で準備が必要な書類を迅速に揃えることで、手続きの遅延を防げます。
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納期を販売店に確認: 契約時に必ず最新の納期目安を確認し、もし納期に希望がある場合は、その旨を明確に伝えて相談しましょう。
中古車の納車にかかる日数
中古車の納車にかかる日数は、新車と比較して短い傾向にあり、一般的に1週間~2週間程度が目安です。最短であれば、3日~数日で納車されるケースもあります。
中古車の納車までの主な流れ
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契約・支払い: 希望の車両を選び、販売店と契約を締結し、支払いを行います。
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納車前点検・整備: 車両の状態に合わせて点検・整備が行われます。車検切れの場合は、このタイミングで車検を通します。
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名義変更・登録: 車両の所有者情報(名義)を変更する手続きが行われます。
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納車: 全ての準備が整い、引き渡しとなります。
中古車の納期を左右する主な要因
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車両の状態・車検の有無:
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車検が残っている車両: 車検が残っており、大きな整備が必要ない場合は、比較的早く納車されます。
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車検切れの車両: 車検を通す必要があるため、その分時間がかかります。
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追加整備・修理の有無: 購入時にオプションとして追加の整備や修理を依頼した場合、その作業に時間を要します。特に、部品の取り寄せが必要な場合は、さらに時間がかかることがあります。
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販売店の整備状況・混雑状況:
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販売店の整備工場の混雑具合や人員体制によっては、点検・整備に時間がかかることがあります。
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在庫の場所・輸送距離:
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購入した車両が展示されている店舗から離れた場所(他店舗の在庫や提携先からの取り寄せなど)にある場合、輸送に時間がかかります。
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必要書類の不備・遅延:
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車庫証明書や印鑑登録証明書など、お客様側で準備が必要な書類の提出が遅れたり、不備があったりすると、手続きが滞り納車が遅れます。特に車庫証明は、申請から発行までに数日かかるため、早めの準備が重要です。
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ローン審査:
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自動車ローンを利用する場合、審査に時間がかかることがあります。特に金融機関のローンは、ディーラーローンよりも審査に時間がかかる傾向があります。
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繁忙期:
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新生活が始まる春先や年末年始など、車の購入が集中する時期は、販売店や陸運局の手続きが混雑し、通常よりも時間がかかることがあります。
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希望する納車日:
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特定の日(大安など縁起の良い日)を希望すると、その日に納車が集中し、かえって納期が遅れることがあります。急ぎでなければ問題ありませんが、急ぐ場合は融通を利かせた方が良いでしょう。
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中古車の納期を早めるための対策
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必要書類を事前に準備: 契約前に、必要な書類(印鑑証明書、車庫証明に必要な書類など)を揃えておくことで、手続きをスムーズに進められます。
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車検が残っている車両を選ぶ: 車検を通す手間が省けるため、納車までの期間を短縮できます。
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大きな整備やオプション追加をしない: できるだけ現状のままで、大きな整備や追加オプションが必要ない車両を選ぶと、早く納車される可能性が高まります。
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ローンの事前審査を受ける: ローンを利用する場合は、事前に審査を済ませておくことで、契約後の手続きを円滑に進められます。
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販売店に最短納期を確認: 契約時に「できるだけ早く納車してほしい」旨を伝え、最短でいつ頃納車可能か確認しましょう。
まとめ
車の納車にかかる日数は、新車と中古車で大きく異なり、様々な要因に影響されます。
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新車: 通常1ヶ月~3ヶ月。人気車種や半導体不足の影響で半年~1年以上かかることも。
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中古車: 通常1週間~2週間。最短で数日~1週間程度で納車可能な場合も。
いずれの場合も、契約時に販売店と密に連絡を取り、最新の納期情報を確認することが最も重要です。また、お客様側で準備が必要な書類や手続きを迅速に進めることで、納車までの期間を短縮できる可能性が高まります。
それでは、良いカーライフを!!